LAGUIOLE ORIGINE GARANTIE
フランスを代表するカトラリーと言えばOPINELであるが、もう一つ特に日本ではソムリエナイフで有名になったLAGUIOLEがある。
フランス ティエールのSCIP社が造るシャトーラギオールが特に有名であるが、最近、日本のレストランなどでも、同じようなデザイン - 背中にミツバチのモチーフと微妙にカーブした優雅なハンドルデザイン - のテーブルナイフやフォークを見かける事が多くなった。
これらも所謂LAGUIOLEと呼ばれるカトラリー類である。
とあるレストランで使われていた肉切り用のテーブルナイフ。
独特のカーブを描くハンドルは羊の後脚をイメージしたもの。
折り畳みナイフのようなピボットピンをイメージしたデザインだが、こうしたテーブルナイフには折り畳み機能はない。
特徴的なミツバチのモチーフ。
なぜミツバチなのかは諸説あるが定かではない。
ハンドル材は牛の角が定番だが、安価なものは殆どが樹脂製。
LAGUIOLE INOX FRANCEの文字。
おフランス製のように見えるが余りに価格が安いのはアジア製品である事が多い。
本来、LAGUIOLEとはフランス南部オーブラック地方の牧草地域にあるごく小さな村の名前。
酪農が主な産業でチーズやオーブラック牛なども名産で、行ったことは無いが三ツ星レストラン ミシェル・ブラスがある。
wikipedia:ミシェル・ブラス
古くは200年程前に、冬の間、温暖なスペイン カタルニア地方に出稼ぎに出ていたこの地の牧童達がスペインのNavajaと呼ばれる折り畳みナイフを持ち帰り、laguiole村の鍛冶屋によって牧童や羊飼い用のユーティリティナイフとして生まれたのがLAGUIOLE ナイフの始まり。
その後、羊の胃袋からガス抜きするためのトロカールやパリのカフェでワインのコルク栓を抜くためのコークスクリューが追加されたりして時代とともに洗練されていき、フランス全土や海外でも人気が高くなっていった。
参考:Laguiole knives : Branding and Imagination
ただ残念なことに、OPINELのようにパテントやトレードマークなどの知的財産権を取得していなかった事や、そもそも単なる地域名でしかないLAGUIOLEと言う単語自体を特定の製品に対する商標登録としては認められない事から、この地と全く関係の無い地域で生産された"それらしい"ものでもLAGUIOLEを名乗る事ができてしまっている。
実際、シャトーラギオールのSCIP社を始め、殆どは刃物産業の盛んなティエール村で生産されており、更に安価なものはアジアなど海外で作られているようである。
加えて、二度の世界大戦と過疎化により LAGUIOLE村の鍛治産業は衰退し、20世紀後半にはLAGUIOLE村で生産される真のLAGUIOLEナイフは殆ど無くなってしまっていた。
これを危惧したLaguiole村が、Lagiole村での製造と当時のオリジナルのユーティリティナイフに拘るべきとの事で1987年にLAGUIOLE村に鍛冶屋を設立させたのがForge de Lagiole。
Forge de Lagiole
これは最も定番の折り畳みナイフで、ハンドルはブラスに牛の角が埋め込まれたもの。
"LAGUIOLE ORIGINE GARANTIE"の刻印は、フランス特許庁が正式にLAGUIOLE村で製造された事を認めたメーカーに与えられたもので、これが刻印できるメーカーは現在も数えるほどしか無いらしい。
T12と呼ばれる鋼材はこれもフランスの鋼材メーカーが特別にForge de Lagioleのために調整したもので、440Aステンレススチールよりも硬度がありながら容易に研ぎ直しができ腐食にも強いとされ、更にストック&リムーバルと呼ばれる所謂削り出し製法ではなく、初めに300tonハンマーで鋼材を鍛造した上で熱処理されていて、これにより素材の粒子が緻密に且つ均一となり、高度と柔軟性を共に高め、クロム含有量が少ない非ステンレススチールでありながらも研ぎ直しし易く且つ切れ味の良い鋼材に仕上がっている。
Forge de Lagioleの"Forge"は"鍛造"(鍛冶屋)の意味でもある。
ロック機構の無いスリップジョイントなのでハードな使い方は出来ないが、携帯できる優雅なデザインのテーブルナイフとしてチーズやローストビーフのようなツマミの食材を切ったりするのに最適。
更に3ピースモデルなら、ソムリエナイフのようにワインのコルク栓を開ける事もできるし、スパイク(正確にはトロカールだが)で切った食材を刺して口に運ぶ事もできる。
OPINELと違うベクトルであるが、どちらも流石フランスと言うべき歴史に裏打ちされた洗練されたデザインで、米国製等には無い魅力がある。
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